TOP(ドバイ不動産投資開発・売買仲介なら|D.D CREST) » コラム » ドバイから日本へ資金送金すると課税される?誤解しやすいポイントとリスクを解説
ドバイから日本へ資金を送る場合、送金しただけで課税されると受け取る人は少なくありません。
実際には、送金行為そのものに税金がかかるわけではなく、課税の有無は資金の性質や送金者との関係、日本での居住ステータスによって決まります。
一方で、家賃収入や売却代金、家族間送金などは論点が異なり、所得税、贈与税、出国税のどれが問題になるかも変わります。
加えて、海外口座の情報共有が進んでいるため、送金の有無だけでなく、資金の原資や申告状況まで含めて考えることが重要になるでしょう。
本記事では、
を解説します。
まず大前提として、送金という行為そのものは課税対象ではありません。
自分名義のドバイ口座から自分名義の日本口座に資金を移動させる行為は、あくまで「資産の移動」です。所得税や贈与税が課されるのは「所得の発生」や「財産の贈与」があったときであり、送金という行為に対して直接課税される制度は日本にありません。
ただし、税務署が問題にするのは「その資金が何なのか」です。送金した資金の原資(もともとどこで得たお金か)によって課税の有無が変わります。
日本の所得税法では、個人を「居住者」と「非居住者」に区分します。
この区分が、ドバイでの収益に対する課税の有無を大きく左右します。
非居住者と認定されるためには、単に住民票を抜くだけでは不十分です。
日本の税務当局は「生活の本拠がどこにあるか」を総合的に判断します。
具体的には、(1)住民票の転出届の提出、(2)生活の本拠(住居・家族・職業・資産)の海外への移転、(3)年間183日未満の日本滞在が目安とされています。
配偶者や子どもが日本に残っている場合、非居住者認定が覆るリスクがある点に注意が必要です。
日本の居住者は、国内外を問わずすべての所得(全世界所得)が日本の所得税の課税対象となります。
ドバイに口座を持っていても、日本の居住者であれば、そのドバイ口座で得た利息・配当・事業収益はすべて日本で申告・納税しなければなりません。
「ドバイに置いたまま使っていない」「まだ日本に送金していない」という状態でも、収益が発生した時点で申告義務が生じています。
日本に送金した際に初めて課税されるわけではないため、送金のタイミングと課税のタイミングを混同しないようにしましょう。
住民税は、その年の1月1日時点に日本に住所がある人に対して課されます。
たとえば、2025年3月にドバイへ移住し住民票を抜いたとしても、2025年1月1日時点では日本に住所があるため、2025年分の住民税(翌年6月から納付)が課されます。
ドバイ移住を検討している場合、12月末ではなく1月1日以降に出国・転出手続きを行うと、その年の住民税負担を大きく軽減できます。移住タイミングの設計は重要です。
自分自身の資金を自分の口座に送金する場合は問題ありませんが、他者(配偶者・親・子など)から送金を受ける場合は贈与と見なされる可能性があります。
贈与税の基礎控除は年間110万円です。この金額を超える贈与を受けた場合、受贈者は贈与税の申告・納税義務を負います。
たとえば、ドバイ在住の夫が日本在住の妻の口座に毎月30万円を送金した場合、年間360万円の贈与として贈与税が課される可能性があります。
「夫婦間の送金だから問題ない」と思われがちですが、日本の贈与税に夫婦間の特例はありません(婚姻期間20年以上の居住用不動産の贈与控除などの例外はありますが、現金送金には適用されません)。
また、送金者が非居住者であっても、受取人が日本国内で財産を受け取った場合は日本の贈与税が課される点も見落とされがちです。
ただし、すべての送金が課税されるわけではありません。
扶養義務の範囲内での生活費・教育費の援助は、贈与税の課税対象外とされています。
認められるのは「通常必要と認められる額」の生活費・教育費に限られます。
生活実態から明らかに過大な送金や、受け取った資金を貯蓄・投資に回している場合は課税対象となりえます。
送金の目的と実際の使途を明確にしておくことが重要です。
出国税(正式名称:国外転出時課税制度)は、日本を出国する際に保有している有価証券等の含み益に対して所得税が課される制度です。
2015年7月に導入されました。
「ドバイに移住して有価証券を売却すれば税金がかからない」という節税スキームを防ぐための制度です。
出国税の対象となるのは、以下の2つの要件をどちらも満たす人です。
対象となる資産には、上場株式・投資信託・未公開株式・新株予約権(ストックオプション)などが含まれます。
それぞれを個別に見ると1億円未満でも、合算すると超えるケースも多いため注意が必要です。
なお、暗号資産は現時点では対象外ですが、今後の税制改正で追加される可能性があります。
出国税には5年間の納税猶予制度があり、出国後5年以内に帰国した場合や、資産を売却しなかった場合は税が免除・軽減されるケースがあります。
ただし、申告期限(原則として出国年の翌年3月15日)は厳格に守る必要があります。
また、出国前に含み損のある資産を売却して損益通算することで、課税額を圧縮できる場合があります。
多額の有価証券を保有したままドバイ移住を検討している場合は、事前に税理士へ相談することを強くおすすめします。
CRS(Common Reporting Standard:共通報告基準)は、非居住者の金融口座情報を各国の税務当局間で自動的に交換する国際基準です。
OECDが策定し、100カ国以上が参加しています。
金融機関が顧客の税務上の居住地国を確認し、非居住者に該当する口座の情報(残高・利息・配当・売却代金など)を自国の税務当局に報告します。
その情報が各国の税務当局間で年1回、自動的に交換されます。
日本とUAEは両国ともCRSに参加しており、すでに自動的な情報交換が実施されています。
日本の国税庁が公表する情報交換実績にも、UAEが対象国として明示されています。
UAE側は「ワイドアプローチ」を採用しており、米国とUAE以外のすべての国の居住者を報告対象としているため、日本居住者のドバイ口座情報は原則として日本の税務当局に届きます。
つまり、ドバイに銀行口座を持っているだけで、口座残高や収益情報が日本の国税庁に自動報告される仕組みが動いているのです。
「ドバイは税金がないから情報が届かない」「CRSが機能していない」という認識は、すでに誤りです。
CRSと連動する形で、日本国内には以下の制度も整備されています。
これらの制度が重なり合うことで、税務当局はドバイ関連の資金の動きを複数の経路から把握できるようになっています。
なお、CRS2.0への移行が進んでおり、暗号資産や電子マネーも対象に加わる予定です。
UAEは2025年のCRS2.0実施にコミットしており、2027年頃から新ルールの適用が見込まれています。
日本の金融機関は、1回あたり100万円を超える海外への送金または受取があった場合、「国外送金等調書」を税務署に提出することが義務づけられています。
これは本人が申告する制度ではなく、銀行側が自動的に報告する制度です。したがって、大きな送金を行うと税務署の把握するところとなります。申告漏れがある場合は税務調査の端緒となる可能性があります。
送金の際は資金の出所(原資)を説明できる証拠——たとえば売買契約書・給与明細・事業収益の記録など——を手元に保管しておくことをおすすめします。
毎年12月31日時点で、海外に5,000万円を超える財産を保有している居住者は、翌年3月15日までに「国外財産調書」を税務署に提出する義務があります。
ドバイの銀行口座残高・不動産・有価証券などもすべて合算されます。
提出を怠ったり虚偽の記載をしたりした場合は、過少申告加算税・無申告加算税が加重されるほか、1年以下の懲役または50万円以下の罰金(不提出・虚偽記載の場合)が科される可能性があります。
申告義務を無視した場合のリスクは軽くありません。
「知らなかった」では済まされないため、早めに税務専門家に相談することが重要です。
UAEに個人所得税がないのは事実ですが、日本の居住者である限り、ドバイで得た収益も日本で申告・納税する義務があります。
「ドバイで稼いだお金だから日本には関係ない」という認識は誤りです。日本の税法は居住者の全世界所得に課税します。ドバイの税制と日本の税法は別の話です。
前述のとおり、CRSによる自動情報交換と国外送金等調書制度の二重構造により、100万円超の送金は金融機関経由で税務署に把握されます。
また5,000万円超の海外財産は本人の申告義務があります。
「海外口座は見えない」という時代は終わっています。税務当局の情報把握能力は年々向上しており、事後的に発覚するリスクは無視できません。
非居住者になれば日本での全世界所得課税は免れますが、すべての税が免除されるわけではありません。
非居住者ステータスの維持は、書類上の手続きだけでなく実態として生活の本拠をドバイに移すことが求められます。
ドバイにおける不動産開発を政府やデベロッパーと共に、積み重ねた実績と戦略コンサルティングを通じて、お客様の資産をより強固で、価値ある未来を提供します。