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ドバイの不動産で家賃収入を得たら?日本の申告と売却時の税金の考え方

ドバイの不動産は、家賃収入に現地の個人所得税が一般的にかからない点から、収益性の高い投資先として見られやすい市場です。

一方、日本に住みながら賃料収入を受け取る場合は、日本での課税や確定申告を切り離せません。家賃収入は保有中の手取りに影響するだけでなく、将来の売却益をどう見るかにもつながります。

現地での税負担が軽いという印象だけで進めると、日本で必要になる申告や、売却時に気にしたい税金を見落としやすくなるでしょう。

保有中の申告と売却時の考え方は、分けて押さえる必要があります。

本記事では、

  • ドバイ不動産の家賃収入が日本でどう扱われるか
  • 確定申告で押さえたい収入、経費、資料の考え方
  • 家賃収入の手取りを考えるときの見方
  • 売却時の税金の考え方につながるポイント

を解説します。

ドバイの不動産からの家賃収入は日本でどう扱われる?

ドバイの不動産から家賃収入を受け取っても、日本に住んでいる間は日本の課税を外せません。

ここでは、日本居住者が受け取る家賃収入が、日本でどのように扱われるかを解説します。

家賃収入は日本で不動産所得として申告する

日本居住者がドバイの不動産から得る家賃収入は、日本では不動産所得として申告します

現地の口座で受け取る賃料でも、日本の申告から外れるわけではありません。家賃収入そのものと売却益は、日本では別の所得として扱われます。

そのため、保有中の賃料収入は不動産所得、売却時の利益は譲渡所得として分けて考える必要があります。

最初に所得区分を切り分けておくと、後の申告や売却時の判断もぶれにくくなるでしょう。

ドバイで税負担が軽くても日本の申告はなくならない

ドバイで個人所得税が一般的に課されなくても、日本での申告は必要です。

UAEでは、自然人の不動産投資収入は通常、Corporate Tax(法人税)の対象となる事業収入に当たらないと案内されています。

つまり、個人の家賃収入については、現地で所得税を納めていないことが多い形です。しかし、日本での課税がないわけではありません。

現地で納税がない以上、個人の家賃収入では外国税額控除を使う場面も基本的に想定しにくく、日本での課税をそのまま考える必要があります

日本居住者かどうかで課税の前提が変わる

日本居住者か非居住者かによって、家賃収入の扱いは変わります。

国税庁は、居住者を「国内に住所がある人」または「現在まで引き続いて1年以上居所がある人」としており、日本居住者には、原則として国内外の所得に課税が及びます。

一方、非居住者になると、日本で課税される所得の範囲は異なるため注意してください。

ドバイの不動産から家賃収入を得る場合も、物件の所在地だけで判断せず、自分が日本の居住者として扱われるかどうかを先に確認してください。

将来の移住や売却時の税金を考えるうえでも、外しにくいポイントです。

確定申告では収入、経費、資料を分けて考える

確定申告では、家賃収入の金額だけでなく、経費と資料の残し方も重要です。

ここでは、申告時に確認したい収入、経費、資料の考え方を解説します。

家賃収入は必要経費を差し引いて申告する

家賃収入は、入金額そのままで申告するわけではありません。

不動産所得は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。管理費や修繕費、租税公課、損害保険料、減価償却費などは、内容に応じて必要経費に入る可能性があります。

反対に、家事費や私的な支出まで経費に含めることはできません。

確定申告では、受け取った賃料だけを見るのではなく、何が不動産所得を得るための支出に当たるかを分けて考えてください。

海外中古建物の減価償却による赤字は損益通算できない

国税庁は、令和3年分以後、国外中古建物から生じた不動産所得の損失のうち、一定の減価償却費に相当する部分はほかの所得との損益通算ができないと案内しています。

かつては海外不動産の赤字を給与所得などと相殺する考え方が注目されましたが、現在はそのまま通用する前提ではありません。

海外中古建物の申告では、減価償却費を計上できるかだけでなく、その赤字が日本でどう扱われるかまで確認してください。

管理費や送金記録は申告の資料として残す

確定申告では、支出の内容だけでなく資料の残し方も大切です。

国外不動産の申告では、日本の口座だけで収支が完結しないことも多く、あとから金額を追いにくくなります。

申告内容の根拠になる主な資料は、次のとおりです。

  • 管理費や修繕費の明細
  • 保険料の支払記録
  • 賃料の入金記録
  • 海外口座を含む送金記録
  • 売買契約書や賃貸借契約書
  • 請求書や領収書、各種明細

契約書、請求書、明細、送金履歴は、保有中からまとめて残してください。

資料がそろっていないと、経費の確認や売却時の取得費の確認にも時間がかかりやすくなります

保有中の記録管理は売却時の税務判断にもつながる

保有中に残した記録は、将来の売却時にも役立ちます。

海外不動産の譲渡所得は、取得価額や譲渡価額を日本円に換算して計算します。そのため、購入時の契約書や送金記録だけでなく、保有中に支払った費用の記録も、後で見直す場面が出てきます。

たとえば、DLD登録料(不動産取得税)のような取得時の費用は、売却時に取得費として確認することがあるため、支払額と負担先が分かる資料を残しておく必要があるでしょう。

家賃収入の確定申告を毎年きちんと進めておくと、売却時に必要な資料もそろいやすくなります。

保有中の記録は、その年の申告だけのためではないと考えてください。

家賃収入の手取りは日本で残る税負担まで含めて考える

家賃収入の収支は、現地で受け取る賃料だけでは判断できません。

ここでは、家賃収入の手取りを考えるときに、日本で残る税負担をどう見込むかを解説します。

表面利回りだけで家賃収入を判断しない

表面利回りが高く見えても、そのまま手元に残るとは限りません。

ドバイの不動産は、現地で個人所得税が一般的に課されない点から、収益性が高く見えやすい投資先です。一方、日本に住みながら家賃収入を得る場合は、日本で不動産所得として申告し、税負担も考える必要があります。

管理費や修繕費などの支出も差し引くため、表示上の利回りだけで投資判断をすると、実際の手取りと差が出やすくなるでしょう。

家賃収入を見るときは、賃料の額面ではなく、最終的にどれだけ残るかで確認してください。

日本で残る税額を見ないと手取りを多く見積もりやすい

日本で生じる税額を収支の見込みに入れないと、家賃収入の手取りを実際より多く見積もりやすくなります。

現地で税負担が軽いとしても、日本での申告と課税を前提にしないと、毎年のキャッシュフローを実際より大きく見てしまいがちです。

特に、家賃収入から必要経費を差し引いた後の不動産所得に対して税額が生じるため、受け取った賃料の総額だけを基準にすると判断を誤るでしょう。

保有中の収益を比べるときは、現地で受け取る金額、必要経費、日本で残る税額の順に見ていくと手取りを把握しやすくなります。

インカムゲインを評価する場面では、この順番を外さないようにしてください。

売却時は保有中と異なる税務を確認する

売却時は、保有中の家賃収入とは別の税目として考える必要があります。

ここでは、売却益の所得区分、保有期間による税率差、円換算の考え方を解説します。

家賃収入は不動産所得、売却益は譲渡所得として分けて考える

家賃収入と売却益は、日本では同じ所得として扱いません。

保有中に受け取る賃料は「不動産所得」ですが、売却で得る利益は「譲渡所得」です。家賃収入の申告と同じ感覚で売却時の税金を考えると、所得区分の違いを見落としやすくなります。

ドバイの不動産を売却した場合も、日本居住者であれば海外の不動産を売ったケースとして譲渡所得の計算が必要です。

保有中の申告と売却時の税務は、別のものとして切り分けて考えてください。

売却時は保有期間によって税率が変わる

売却時の税率は、保有期間が5年を超えるかどうかで変わります。

土地や建物を売った年の1月1日時点で、どちらに当たるかを確認してください。

区分判定(売却した年の1月1日時点)所得税・住民税率(目安)
長期譲渡所得所有期間が5年超約20%
短期譲渡所得所有期間が5年以下約39%

売却価格が同じでも、売る時期によって手元に残る金額は変わります

出口を考えるときは、価格だけでなく保有期間も見ておく必要があります。

円換算の考え方で売却益の見え方も変わる

売却益は、現地通貨だけでなく日本円でどう見えるかも確認が必要です。

海外不動産の譲渡所得は日本円で計算するため、物件価格の値動きだけでなく、取得時と売却時の為替水準でも手元に残る金額が変わります

見たいポイントは、次の3つです。

  • 取得時の為替レート:取得価額を日本円で考える基準
  • 売却時の為替レート:譲渡価額を日本円で考える基準
  • 現地通貨と日本円の見え方の違い:円高なら利益が小さく見え、円安なら大きく見える場合がある

国税庁は、原則として取引日の T.T.M(仲値) で円換算すると案内しています。

また、売却代金を直ちに円にした場合は T.T.B(電信買相場)、日本円を直ちに外貨に替えて取得した場合は T.T.S(電信売相場) で計算できる場合があります。

売却時は売値だけでなく、取得時と譲渡時の換算方法、為替水準まで含めて確認してください。

購入前に決めたいのは家賃収入と売却益を通した収支の考え方

ドバイの不動産を買う前には、保有中の家賃収入だけでなく、売却時まで含めた収支を考える必要があります。

ここでは、購入前に見ておきたい収支の考え方と、税理士へ相談するタイミングを解説します。

家賃収入だけでなく売却後の手取りまで考える

購入前の判断では、家賃収入だけでなく売却後の手取りまで考える必要があります。

保有中は家賃収入から必要経費と日本での税額を差し引いた金額が手取りの目安になります。一方、売却時は譲渡所得として課税され、保有期間や円換算の影響も受けます。

家賃収入が安定していても、売却時の税率や為替の動きによって最終的な収支は変わるでしょう。

購入時は利回りだけで判断せず、保有中の収益と売却後に残る金額の両方を見てください。

税理士への相談は購入前に始めると保有名義を決めやすい

税理士への相談を購入前に始めると、保有名義や資金の流れを早い段階で決めやすくなります

購入後に個人保有か法人保有かを見直したり、送金方法を変えたりすると、想定していなかった確認事項が増えやすくなります。

家賃収入を「だれが受け取り」「将来の売却益をだれに帰属させるのか」によって、見たい税目や申告の流れが変わるためです。共同保有や承継まで視野に入れる場合は、資金の出し手と収益の受け取り方も先に決める必要があるでしょう。

物件選びが進んでから慌てるのではなく、購入前の段階で税理士へ相談し、持ち方と資金の流れを固めてください

ドバイの不動産による家賃収入でよくある質問

ここでは、ドバイの不動産から得る家賃収入について、よくある質問を紹介します。

Q1. 家賃収入を日本に送金しなければ申告しなくてよいですか?

日本に送金していなくても、日本居住者なら家賃収入の申告は必要です。

国税庁は、CRS(共通報告基準)に基づく金融口座情報の自動的交換を案内しており、国外口座の情報が税務当局間で共有される仕組みがあります。

送金していないことを理由に申告が不要になるわけではありません

日本居住者として家賃収入を得ているかどうかで判断してください。

Q2. 管理会社に払う費用はどこまで経費になりますか?

不動産所得を得るために必要な支出なら、経費に入る可能性があります。

管理費、修繕費、保険料、仲介関連の費用などは、内容に応じて必要経費として扱える場合があります。一方、私的な支出まで経費に含めることはできません。

申告では、管理会社への支払いを一括で見るのではなく、何の費用かを分けて確認する必要があります。

Q3. 日本居住者のまま売る場合と、移住後に売る場合で何が変わりますか?

日本居住者のまま売る場合は、日本で譲渡所得として課税される前提で考えることが必要です。

一方、移住後は日本で課税される所得の範囲が変わるため、売却時の前提も同じではありません。

もっとも、住民票を移しただけで直ちに非居住者になるとは限らず、生活の本拠がどこにあるかも見られます

売却時期を考えるときは、物件価格だけでなく、自分が日本でどのように扱われるかまで含めて確認してください。

Q4. 売却も考えているなら保有中から何の資料を残すべきですか?

売却も見据えるなら、家賃収入の申告資料だけでなく、取得費や関連費用の資料も残す必要があります。

主な資料は、次のとおりです。

  • 売買契約書
  • 送金記録
  • 管理費や修繕費の明細
  • 家賃の入金記録
  • 保険料や各種請求書
  • DLD登録料の支払額と負担先が分かる資料
  • 売却時の契約書や精算資料

海外不動産の譲渡所得は、取得価額や譲渡価額を日本円に換算して計算します。

DLD登録料のような取得時の費用は、売却時に譲渡所得の計算で差し引ける可能性があるため、金額だけでなく、だれが負担したかまで分かる資料を残してください。

購入時から売却時までの記録を一つの流れで管理しておくと、後で確認しやすくなります。

【まとめ】ドバイの不動産の家賃収入は保有中の申告だけでなく売却時まで見て判断する

ドバイの不動産で家賃収入を得る場合でも、日本に住んでいる間は日本での申告と課税を切り離せません。

保有中は不動産所得としての確定申告、必要経費、手取りの見方を押さえ、売却時は譲渡所得、保有期間による税率差、円換算まで含めて考える必要があります。

家賃収入だけで投資判断をせず、売却後にどれだけ残るかまで見ておくと、収支の見え方は変わるでしょう。

購入前から保有中と売却時を通した税金の考え方を持っておくことが重要です。